あの、そのきびだんご、もらえないですか?
サルは思わず、声に出していました。
ふだんは木の実ばかり食べているサルにとって、目に映るきびだんごは黄金よりも輝いていました。
いいですよ、あげましょう。
ありがとうございます!!
どうやら、同じ考えの者は、サルだけではなかったようです。
そうして、3匹は、きびだんごをもらうかわりに、鬼退治のお供になることを青年と約束しました。
…みなさん、鬼退治の経験ってあるんですか?
道中でイヌが不安げにたずねましたが、経験どころか、その内容を知る者はいません。
(褒美さえもらえたら適当なところで、切り上げよう‥‥)
(まぁ、いざとなったら他の2匹が頑張ってくれるだろう‥‥)
はたして、この先どうなるのか、まだ旅ははじまったばかり——
ここからは、舟での移動になります!
ちょっと、海渡るなんて聞いてないんですけど‥‥?!
完全にキジたち側が迂闊だったのですが、
誰も、本当の目的地がどこなのか、しっかり聞いていなかったのです。
イヌとサルの顔面にも、焦りの色が浮かんでいます。
…飛んで逃げよう。
そう、サルはキジに持ちかけるも、
残念ながら、キジはそんなに長く飛べる鳥ではありませんでした。
深呼吸をして、3匹は覚悟を決めました。
じゃあ僕、舵取りやりますよ!
私は羽で、風向きを見ます!
自分は…一生懸命がんばります!
みんな舟は初めてでしたが、力を合わせれば、どんどん進みます。
できるようになると、案外楽しくもなってきます。
気づけば鬼ヶ島はもう目の前にありました——
無事、鬼ヶ島についた一行は、鬼ヶ島攻略のための打ち合わせをはじめました。
キジさんは上空から正門を。
サルさんは裏口に回ってください。イヌさんは‥‥
(自分にできることって、なんだ‥‥?)
イヌは少し悩んでいました。
翼も無ければ、手先も器用な方ではありません。
キミには立派な牙があります。
その牙を活かしてみてください。
その手(牙)があったか!と、イヌは吠えました。
あたりまえすぎて、自分の長所を見落としていたのです。
そして、力を合わせてチームで動く、
この仕事にオオカミの血筋が騒ぐのを感じていました。
これが成功すれば、村の人たちも喜んでくれるはずです——
ここからの話はオフレコなのですが、
桃太郎たちは、本当のところ、鬼退治をせずに済んだのでした。
まず、鬼たちに村を襲ったわけを聞いたところ、
作物の育て方を知らないために、
奪うほかなかったと言うのです。
鬼たちにも、食べざかりの子どもたちがいます。
それならと、育て方を教えることにしたのです。
イヌは穴を掘り、サルは種を蒔き、キジは水をやりました。
皆で汗を流して、はたらいたあとに食べたきびだんごは、
これまでにもまして、格別のおいしさなのでした。
すっかり鬼と打ち解けた一行は、
お礼に金品をいくらかもらい、
自分たちの村へと戻ることになりました——
「ありがとう」「助かったよ」
鬼の襲撃がなくなり、村に再び平和が訪れました。
イヌとサルとキジの3匹はというと、はじめは、きびだんご目当てだったけれど、
人の役に立つことは悪くない、この気持ちは、きびだんごには代えられないと、思ったそうな。
村人も鬼も桃太郎たちも、そして3匹も、
それぞれの場所で、みんなしあわせに暮らしましたとさ。
「 またどこかで、
役に立つことでもやってみようかな。 」
あれからも僕らは、様々な仕事に取り組んでいる。
どれもつくづく、一人ではできないなと思う。
種族も性格も違うけど、信頼できる仲間がいる。
(犬猿の仲という言葉の意味を考え直す良い機会になった‥‥!)
相談をしたり、ときには他愛もない話をしたり。
群れの中にいたままだったら、知らないことだらけ。
社会に一歩踏み出したからこそ見えた世界が、
そこにはあったんだと思う。
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